上の写真で見える黒い4つの穴がエアファンネルになります。
これが本来のエンジンマウントだと右側斜めの位置に突き出る形になりますが、72度傾けることで余分な突起物が無くなり、リアウィングの前方に気流を妨げるものが無くなっています。
巨大なリアウィングをダウンフォースのバランスをとるためか、フロントウィングもかなり大型です。
いちおうカウルは外せますが、内部はまったく手を入れていないのであまりお見せできないレベルです。
エンジンはともかく、補機類のレイアウトはわりと普通。
モノコックはアルミの引き物でとても贅沢なパーツでしたが、そのぶんエッジが効いていていい感じでした。
それ以外はエンジン、ラジエターからアンダートレイにいたるまですべてメタル製です。
当然左に置いてあるカウルもメタル製なのでこれだけで、結構な重さがあります。
この「失敗作」だったフラットフィッシュ(ヒラメ)コンセプトはマーレイが移籍したマクラーレンで復活し、1988年に歴史的な傑作車となったMP4/4ホンダに引き継がれました。
MP4/4もよくみるとかなり車体が低く、ドライバーの肩が露出しています。
ちょっと写真が失敗してますが、横からみるとリアウィングの存在感がでかいのがよくわかります。そりゃ直線では抵抗になるわなって感じ。
もっとも当時のBMW直4ターボって1000馬力越えるくらい出ていたので、ある程度力まかせにできる見込みがあったのかもしれないけど、エンジンの信頼性が低かったのではどうしようもないですな。そりゃ通常より72度もエンジン傾ければ潤滑系とかも大変ですわね。
キットには白い部分はデカールが入っていましたが、貼る自信が無かったので無難に塗装しました。境界線は細い白いラインがあるのですが、その部分のみデカールを切って使いました。
青の部分は調色ではなく、鉄道カラーの「近鉄ブルー」です。いわゆるラピート(関空特急)用ですな。
鉄道カラーはいろいろ微妙な色調があるので重宝します。なにより缶スプレーがあるという缶スプレー派な私にはありがたい存在です。
ドライバーフィギュアはタミヤのものを流用。ドライバーはリカルド・パトレーゼにしました。ゼッケン”7”の方がよかったのと、タミヤのBT50のヘルメットデカールが流用できるから。(いや、パトレーゼも好きなんですけどね)
実車はもうちょっと着座位置が高い感じかなぁ、肩がもろにカウル上面にでている写真もありますからねぇ。
バックミラーはエッチングパーツですが、きれいに鏡面になっていてドライバーの指が映りこんでますね。
なにげにフロントサス周辺にバージボードがあります。
バージボードが流行したのが1993年のマクラーレンMP4/8以降だったと思うので、かなり先見性があったということでしょうね。
タイヤはキット付属の樹脂製。
表面は軽く削ってますが、ピレリらしさを出すためにちょっとツルツル気味にしてあります。
BT55は予選ではシングルグリッドもしばしばあったのですが、それがモナコ(6位)、オーストリア(4位)、メキシコ(5位)と見事にサーキットの特性がバラバラという、いったいこのクルマの得意とするコースはどこだったの?と首をひねってしまいます。
カラーリングはこの頃のブラバムのパターンなんですが、ボディ形状を強調するような感じで非常にキレイでカッコいいデザインで大好きです。(アルマーニがスポンサーについてるくらいオシャレ(関係ないか))
コクピット前方のブルー部分のカウルはバキュームパーツでした。裏からクリアブルーを重ね塗りして微妙に透けるくらいにしているので、うっすらと下のモノコックに貼られてあるオリベッティのロゴが見えるようにしてます。(実車はもうちょっと濃いかな?)
【実車解説】
1986年シーズンに鬼才ゴードン・マーレイが作り出したビックリドッキリメカ。
とにかく低く、フラットにして最大限にリアウィングに空気を当てダウンフォースを得るというコンセプト。そのために通常はエアファンネルが正面から見て斜めにとび出る直列4気筒のエンジンを72度傾けてファンネルが直上にくるようにマウントしてリアウィング前の空間を空けるという徹底ぶり。
おかげでドライバーはかなり寝た姿勢で肩はカウル上面から露出しているまでにボディは低く抑えられた。
しかし期待した性能は得られず(巨大なリアウィングが効き過ぎてドラッグとなり、最高速が伸びないという本末転倒さ)、無理な取り回しによるものかエンジントラブルも頻発(11回)する状況では好成績は望むべもなく、チームは85年シーズンで6位が2回のわずか2点しか獲得できずコンストラクターズも9位(ブービー)に低迷することになった。(予選は4位を最高に10位以内は結構あるが、ダメな時との落差が大きい。サーキットとの相性を選びすぎるクルマだったと言える)
また、ドライバーのE・デ・アンジェリスがテスト中にリアウィングが脱落するアクシデントで死亡するという悲劇もあり、その印象的なルックスに比してあまり良い印象で語られることが少ない一台である。
【モデル解説】
もうずいぶん昔に発売されたトレジャーハントの1/20の”フルメタル”キットです。ボディカウル含めてメタル製なので重いこと重いこと。
当然メタルなのでレジンほど精度が良くなく、かつ加工もしにくいため作るのは大変でした。
全体の形状は「ちょっとサイドポッドが厚いかな?」って感じもしますが、おおむね良好と言っていいと思います。
カウル内部は最低限のパーツ構成になっているので、私のように「開けないが基本」では無い人にとっては物足りないと思いますが、ディティールアップのしがいがあるというポジティブな人にはちょうどいいのかも。
ドライバーはもちろんタミヤからコンバートですが、もうちょっと肩を露出させたポジションにした方がよかったかも。
決して速いクルマではありませんでしたが、抜群にカッコいいので大好きな一台です。
作者:めが
ブラバムBT55 BMW (1986年)