よく「79だったらロニーは死ななくてすんだ」ということも聞きます。79の方が強度があったから、という理由のようですが、79が強かったのはシャシー剛性であって衝突強度ではありません。(それでも79は剛性不足と言われてましたが)
個人的にはたとえ79に乗っていたとしても出火はなかったかも(79はコクピット後ろにガソリンタンクが集約されているが、78はサイドポッドの中にもタンクがある)しれませんが、両足の方は所詮アルミハニカムなので同じ結果だったと思います。残念ながら。
78年イタリアGPのスタートの模様は映画「ポールポジション2」や「ウィニングラン」で見ることができます。
こういうシーンを見ると、現代のカーボンモノコックがいかに強靭な代物かが実感できます。
ディティールアップ無しの完全素組みのリアセクションです。
まさに70年代スタンダードな構成。
リアウィングステーはエッチングパーツに変更しています。かなりイイ感じ。
本当はバッテリーの配置も変わっており、リアウィングマウント横に付けられていたそうです。キットでは「エッチングパーツを折り紙して再現」するようになっていましたが、時間切れです。(うぅ・・・)
サイドポッド上面のフュエルリッドはエッチングパーツになっています。こういうパーツはエッチングの効果あると思います。
前後の翼端板の形状が78年仕様です。
サイドポッドの前端部の形状も77年仕様と違っています。(上下端が丸い)
昔のキットなのでインダクションボックスの分割が多く、合いもだいぶ悪くなってきているので少々面倒くさいです。
78のフロントウィングは端にいくほど上がっていくという不思議なマウントになっています。(模型が反ってるんじゃないよ)
それにしてもフロントタイヤが小さい。翌79年からはグランドエフェクトカーの高いダウンフォースに対応するため急激に大型化をします。
オイルクーラーの追加パーツがノーズのラインより角度を付けられているのがわかると思います。実はこのパーツの色が不明です。(モノクロ写真の資料しか手元に無かったので)
とりあえずは黒で塗りましたが、写真では無地(アルミ)にも見えるのですが。
スポンサーロゴのレイアウトは79と同じですが、ステッカーのサイズが合わないのかいかにも急ごしらえ感がしますね。
77年使用とは似ているようですが結構違います。
イタリアGPの78は写真が少なくて(特にカラー写真が)、資料に困ります。
フロントのオイルクーラーの後ろ側にカバーがつけられています。形状からすると空気流入量を増やす目的のようです。
コクピット前縁(Johnの文字の上)にちょこっとロールバーの出っ張りがあります。ピーターソンは身長が高かったので、通常よりロールバーを高くする必要があったのでしょう。
【実車解説】
1978年シーズンに向けてロータスは新型79の開発を続けながら、序盤戦は前年型の78を使用していた。前年型とはいえグランドエフェクトを利用した78の戦闘力は依然として高く、第6戦ベルギーでアンドレッティが79でデビューウィンを飾る(この時ピーターソンは78で2位に入り1-2フィニッシュをしている)までの第5戦モナコまで2勝を含む6回入賞をしている。
第7戦以降は2台とも79を使用して78はスペアカーとされていた。
第14戦イタリアGPの決勝日朝のウォームアップで79をクラッシュさせたピーターソンは急遽78をで決勝を戦うことになった。
早すぎたスタートシグナルの点灯が第1シケインへの進入で混乱を生み、多重クラッシュが発生。巻き込まれたピーターソンの78はガソリンタンクが壊れガソリンに引火するものの仲間のドライバー達の決死の救出活動により救けだされた。
この時点でピーターソンは両足を酷く傷めていたものの意識もあり、生命の心配は無い模様であったが、運び込まれた病院でその夜容態が急変し帰らぬ人となってしまった。手術ミスが原因ではないかと言われている。
【モデル解説】
ロニー・ピーターソン特集で製作した一台。
運命の78年イタリアGP仕様です。
タミヤ1/20にスタジオ27のトランスキットを使っています。
77年型との差はカラーリングはもちろん、前後ウィングの翼端板の形状、フロントオイルクーラー上にリップの追加、コックピット前にフロントロールバーの追加。あと本当はサイドスカートの構造も違うのですが、今回は時間切れ。
カラーリングは基本的に79のレイアウトと同じ配置になっているのが特徴ですが、かなり無理やり感が漂っていてユニオンジャック部分がかなり苦しげです。もっともシーズン後半には78はスペアカー扱いだったのであんまり気にされてはいなかったようです。
追加パーツ以外はストレート組で特にディティールアップもしてません。
ドライバーはもちろんピーターソンでヘルメットのひさしもスタジオのキットにおまけとしてついていたものです。
作者:めが
ロータス78 (78年イタリアGP)